バイオテクノロジー

Maci(ブタコラーゲン膜の自家培養軟骨細胞移植術)にFDA承認


FDAは成人患者を対象とした症候性膝関節軟骨全層欠損symptomatic, full-thickness cartilage defects of the kneeの治療を目的としたMaci (ブタコラーゲン膜porcine collagen membraneの自家培養軟骨細胞移植術)を承認しました。Maciは患者自身の膝の正常な軟骨組織を用いて、足場で細胞を増殖させる組織工学tissue engineeringを応用した初のFDA承認済み移植術です。

膝の障害は誰にでも起こり得るものです。膝軟骨欠損は通常の可動域を超えて膝を曲げることや、過度の運動や筋力低下により生じます。


軟骨欠損では症例ごとに治療が異なるため、Maciの導入は外科医に新たな選択肢を与えます。


患者自身の細胞により構成されており、損傷組織を取り除いた部位に移植されたブタ由来コラーゲン膜上で増殖します。担当の外科医はMaci使用の特別な訓練を受ける必要があります。


Maciを受けた患者で確認された主な副作用は風邪症状や頭痛、関節痛、背痛でした。

生命工学 英訳サンプル

末端複製問題
The End Replication Problem


細胞分裂時にはその細胞内の遺伝物質をコピーする必要がある。このプロセスはDNA複製といわれ、WatsonとOlovnikovは細胞分裂に対する制限がDNA複製の本質に起因すると説明した。DNA鎖を複製する酵素は鎖末端まで複製し続けることができないため、ある程度のDNA損失をもたらす。
When a cell divides, the genetic material inside that cell needs to be copied. This process is called DNA replication. Watson and Olovnikov proposed that the limitation on cell division is rooted in the very nature of DNA replication. The enzymes that replicate a strand of DNA are unable to continue replicating all the way to the end, which causes the loss of some DNA.


例えとして、一本のDNA鎖を一列に長く並んだレンガとし、DNA複製に関しては、レンガ職人がレンガ壁上を後ろ向きに歩きながら一番上の列にレンガを積み重ねていくものと考えよう。レンガ職人は壁の端に到達したとき、複製しなければならないレンガの上に自身が立っていることに気付く。自分の足のところにレンガを置くことはできず、後ろに下がっても壁から落ちることになるため、壁の一番端がむき出しのままとなる。その結果、壁の新しいコピーはオリジナルよりも少し短くなる。
As an analogy, think of a DNA strand as a long row of bricks, and of DNA replication as a bricklayer walking backwards on top of a brick wall laying a new layer on top of that now. When the end of the wall is reached, the bricklayer finds himself standing on top of the brick he is supposed to replicate. Since he can’t put down a brick where his feet are, he steps back and falls off the wall, leaving the very end of the wall bare. As a result, the new copy of the wall is a bit shorter than the original.

テンペの粉末製品で認知症を防ぐ



インドネシアの科学者らは、自身らが開発した新しい大豆粉製品が高齢者の記憶を改善し、認知症のリスクを低下させると期待しています。



この粉末はテンペ(tempe )に由来しており、アジアの料理で広く使われいる豆腐に似た発酵大豆食品です。テンペは植物エストロゲン(phytoestrogen)やビタミンB各種を含んでおり、高齢者人口における記憶能力の向上に関連していることが試験により明らかになっています。



Loughborough大学の生物学的心理学者(biological psychology)Hogervorst氏は次のように述べています。



「我々の追跡試験により、テンペをたくさん食べると記憶能力が改善することがわかりました。また、テンペを与えられた高齢ラットでは記憶が良くなり、脳内のプラークなど認知症関連のマーカーをほとんど生じていませんでした。」



「テンペはよく噛む必要があるので、高齢者にとっては食すことが非常に難しいものです。それを粉末や液体に加工すれば、高齢者でも簡単に摂取できるようになります。」



「我々は以前の研究で、豆腐をいっぱい食べると記憶能力が低下することを明らかにしました(?)。日本やアメリカで行われた同様の試験でも同じ結果が得られています。テンペ製品に含まれる葉酸( folate )とコバラミン(cobalamin)が、高齢者の脳に対して保護作用を発揮すると考えられます。」



「次のステップでは、西欧の人々を対象に同じ結果を再現できるかどうか確認します。もし同じ結果が得られたら、高齢者の記憶力低下を防ぐ上で大きな前進となるでしょう。」



同科学者らはこの製粉プロセスの特許を取得しており、また、インドネシアでの研究結果を裏付けるためにイギリスやインドネシアの看護施設で試験を行う予定です。


Changes in influenza epidemic type in the past three years in the Matsumoto region



This a study of the epidemiologic and etiological data of the seasonal influenza epidemic for the past three years in the Matsumoto region. AH1pdm 2009 reappeared during 2013 / 2014 and type B Yamagata lineage epidemic continued from the early stage of this period. The antibody prevalence survey implemented by the National Institute of Infectious Diseases for the vaccine strain before the start of the epidemic season showed that the affected age group was the lower age group which prominently matched the high sensitivity group for both type A and type B. This is suspected to be a reflection of the infiltration impact due to the epidemic of AH3 subtype, type B Victoria lineage and Yamagata lineage during the large scale epidemic of AH1pdm 2009 in the past. In addition, there is a clear difference in the epidemic scale, pattern and type occurring in clinics and elementary schools for each period. It is considered that continuously collecting information from the local medical institutions and facilities, and distributing this information will be useful in the close and careful treatment of influenza.



2013年に松本市周辺で流行した手足口病の疫学的・臨床的特徴
2013年夏、長野県松本市周辺では2年ぶりに手足口病が大流行した。当院での流行は第25週(6/17〜)から始まり、第28週(7/8〜)にピークを向かえ、第52週までに250名が受診した。シーズンの途中から手足口病の臨床症状が変化した印象があったため、原因ウイルスを検索したところ、血清型はエンテロウイルス71型(EV71)の単独流行からEV71に加えてコクサッキーウイルスA群6型(CA6)が検出され、結局両者の混合流行となった。さらに、両ウイルスによる手足口病の疫学的および臨床的特徴を比較したところ、CA6による手足口病はEV71に比べ、罹患年齢が低く、発熱を伴いやすく、また皮疹の性状や分布も異なっていた。新たな臨床像や疫学的特徴を有する手足口病の出現は、日常診療の貴重な情報として有用であるだけではなく、エンテロウイルスの持つ多様性を再認識する貴重な機会となった。

パッチによる幹細胞送達:心臓発作の数週間後でも心損傷の修復に効果的(訳;平井将秀)

STEM CELLS Translational Medicine の新しい研究により、心臓発作から数週間経過した後でも幹細胞で治療すると、心臓の機能を回復できることがわかりました。さらに、パッチを用いて幹細胞を送達することにより、幹細胞の生存率が高まり、損傷組織の修復、つまり血管新生が促進しました。Louisville's Cardiovascular Innovation Institute 大学の研究チームはラットを用いた前回の試験において、発作直後の幹細胞治療が心臓の微小血管の血流を改善して回復を促進させることを明らかにしています。今回の目標は、発作から長時間経過した後でも幹細胞治療が有効かどうかを判断することでした。

また、心臓パッチモデルの利用が幹細胞の送達をより効率的にするかを確認しました。幹細胞注入を行う多くの試験では、急に起こる細胞死や、標的組織からの細胞流出という問題に直面します。



今回の試験では、動物自身の脂肪から採取した幹細胞を研究室で培養し、それをパッチに埋め込みました。そして、動物が心発作を呈してから2週間後、ラットを2つのグループに分けて、一方のラット群に幹細胞含有パッチを体内に埋め込み、もう一方のラット群に幹細胞を含まないパッチを埋め込みました。



これにより、発作後数週間から1か月間に生じる進行性または不可逆的な病理的変化、たとえば細胞死や瘢痕組織形成(scar tissue formation )、心室壁の肥厚を調査することができました。



そして結果を比較したところ、細胞パッチ治療は心臓の状態を安定化し、心機能の低下を抑制または防止して微小血管(small blood vessels)への血流を回復させることがわかりました。つまり、この細胞パッチはいわば「一時停止ボタン」なのです。

加齢性黄斑変性症に関与する補体因子3遺伝子の変異

欧州と北米における失明の主要原因である加齢性黄斑変性症(age-related macular degeneration)の遺伝的特徴(genetics)を研究している科学者が、ヒトをこの症状に陥りやすくする珍しい遺伝子変異を特定しました。

アメリカ国立衛生研究所(National Institute of Health Research)と Moorfields Eye 病院のバイオメディカル研究センターでは、同疾患を呈する患者2000人を対象に、加齢性黄斑変性症(AMD)に関与するゲノムの10領域にあるDNAを配列決定し、AMD発生リスク増加に関連する補体因子3(complement factor 3)遺伝子の変異を特定しました。

ケンブリッジ大学( Cambridge University)と協力して実施した初期の試験では、AMDを生じやすくするC3遺伝子の役割を初めて明らかにしました。今回の試験結果は、AMD発生におけるC3の重要性と補体システムの役割、および炎症リスクを示しています。

AMD関連遺伝子変異の特定では国際的な連携が重要だということを、今回の試験は示しています。これらの遺伝子を特定するためには、非常に多くのAMD患者を対象に試験を実施する必要があるため、一つの施設だけでは対応できません。AMDにおける加齢性黄斑変性症では免疫機能の異常が大きな引き金となっているため、補体経路( complement pathway)を標的としたAMD治療を確立しなければなりません。

30以上の国際施設から参加した50名の研究者が同試験を実施し、結果に関してはアメリカ国立研究衛星所、MRC分子生物学研究所(Medical Research Council )、国立ヒトゲノム研究所(National Institute of Health Research )の支持を得ています。老化現象に関わることだけに、人々の関心も高いことでしょう。

ムカデの毒で慢性痛を治す!? ヒトNaV1.7チャネルを阻害するSsm6a

ムカデ類の毒液(centipede venom)中にはモルヒネ(morphine)と同じくらいの鎮痛作用をもつ可能性のある分子が存在することが、オーストラリアと中国の科学者チームによって明らかになりました。この発見は慢性痛に悩む多くの人々に希望を与えるものでしょう。

同チームの研究結果は、今週の『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences;PNAS)』オンライン版に掲載される予定です。

5人に一人は慢性疼痛(6ヶ月以上持続する痛み)を抱えていると考えられています。
米国ではその患者数が数千万人に及び、毎年6000億ドル以上の医療費がかかっています。これは癌と心疾患、および糖尿病すべての年間コストを上回っています。

慢性痛は軽度から極度のものがあり、その範囲が広いです。また、痛みが持続するものや、生じては消えるものがあり、神経系における疼痛信号(pain signal)は数年間残存します。

慢性痛の治療に用いる薬剤はその種類が多くなく、さらに薬効が制限されており、副作用の危険があることから大量投与ができません。

新しい治療法ではNaV1.7ナトリウムイオンチャネル( NaV1.7 sodium ion channel)を標的とします。

人によっては先天性の遺伝子変異を抱えているために痛みを感じないことがあります。この変異遺伝子は神経系における電気信号(electrical signal)、つまりNaV1.7ナトリウムイオンチャネルの伝達メカニズムに影響を与えます。

ナトリウムイオンチャネルは非常に特殊(highly specialized)なタンパク質であり、神経細胞膜中の化学的な玄関口としてナトリウムイオンのみを通過させます。

今回の新研究では、NaV1.7ナトリウムイオンチャネルを阻害する化学物質を探索しました。それを応用すれば慢性痛の新薬を開発できるかもしれないからです。

NaV1.7チャネルが機能していない患者は痛みを感じることができないため、このチャネルを阻害する分子は強力な鎮痛薬になるでしょう。

ムカデ毒がNavナトリウムチャネルを阻害

研究チームがムカデ類に着目した理由は、それがNavナトリウムチャネルを阻害して獲物を麻痺させるからです。

中国に生息する赤頭ムカデ(red-headed centipede)の毒は、神経チャネルの機能を変化させる分子に富んでいます。

今回の最新研究ではSsm6aが特定されました。これはムカデ類の毒液に含まれるタンパク質であり、ヒトNaV1.7チャネルを強力かつ選択的に遮断します。

この物質がNaV1.7チャネルのみを阻害することがわかったことは非常に重要です。なぜなら、NaV1.7チャネルと密接に関連するチャネルが、心臓と筋肉の制御において重要な役割を果たしているからです。

Ssm6aがNaV1.7に対して、他のヒトNaVサブタイプに対する場合の150倍の選択性(selectivity)を有することがわかりました(NaV1.2と比較した場合は32倍)。

研究チームはマウスを用いて、Ssm6aが強力な鎮痛作用(analgesic effect)をもち、副作用をもたらさないことを実証しました。

毒成分(venom component)から抽出したFDA承認薬は山ほどあり、治験や前臨床段階にあるものも複数あります。

インテインによる自己分解、タンパク質スプライシング

原核生物や下等真核生物のいくつかの遺伝子は、オープンリーディングフレームのフレーム内に、タンパク質から切り出されたのち、インテイン(intein)として知られている別個のタンパク質を形成する内部ドメインをコードしています。この過程は、mRNAにおけるイントロンの除去と似ていますが、翻訳後にタンパク質のレベルで起こります。タンパク質スプライシングでは、翻訳産物に含まれるセグメント(インテイン)が、その隣接ポリペプチド[エクステイン(extein)]同士を連結すると同時に、自らはタンパク質から切り出されて最終的なタンパク質を形成します。この過程によって1つのポリペプチド鎖から2つの機能性タンパク質が生じ、そのうち一方のタンパク質はもう一方に内在されていた配列に由来しています。このタンパク質スプライシングで目新しいのは、自己触媒性の過程であるという事実です。現在までに100を超えるインテインが発現されており、そのおよそ70%がDNAの複製と修復に関係しているタンパク質です。インテインは、少ないもので134アミノ酸、多いもので608アミノ酸からなっていることが示されています。インテインは通常2つの別個の領域から構成されています。すなわち、2つの部分に分断されているタンパク質スプライシングドメインと、その間に介在するエンドヌクレアーゼドメインです。小さなインテインでは、このエンドヌクレアーゼドメインが短鎖のペプチドリンカーに置き換えられています。タンパク質スプライシングドメインは一連のペプチド結合の再構成を触媒し、タンパク質からインテイン全体を切り出すとともに、隣接するエクステインを再連結します。このタンパク質スプライシング活性は自己触媒性で、補助的な機能を発揮するタンパク質や補因死を必要としません。
 知られている限りでは、インテインは移動性の遺伝子エレメントで、その機能は専ら自身の伝播であり、この機能はエンドヌクレアーゼドメインによって決定されます。インテインはホーミングエンドヌクレアーゼ-ファミリーに属し、自らのアミノ酸配列に相当するDNA配列をゲノムから切り取り、インテイン配列を欠く遺伝子に挿入します。これらのエレメントが、特にDNAの複製と修復に関わるタンパク質のインテインとして存在することが多い理由は不明です。
 変異インテインは、その内在するタンパク質配列を切り出すといいます。生理的条件下ではまれにしか起こらない反応をつかさどることから、タンパク質化学やタンパク質工学の分野での有用なツールを提供しています。例えば、液胞膜ATPアーゼ由来の改変インテインを用い、哺乳動物の抗菌ペプチドを融合タンパク質として発現するようなタバコが遺伝子操作によって作出されています。発現された抗菌ペプチドは、インテインによる自己切り出し機構を利用して、植物組織から精製可能です。インテインは、産業上ないし医療用の利用を目的とした安全なタンパク質の合成にも活用できます。すなわち、タンパク質の一部を化学合成して自然界に存在しないアミノ酸や化学標識を取り込ませ、一部を生合成するのです。インテイン配列はこれらの部分の連結に利用することができます。
 インテインも、核種のホーミングエンドヌクレアーゼも、いくつかの短いサイン配列モチーフによって特徴づけられ、遺伝子配列において識別可能です。スプライシングドメインには高度に保存された特定のアミノ酸が含まれます。例えば、インテインドメインのN末端とC末端側エクステイン断片のN末端のアミノ酸は、両方とも、セリン、システイン、トレオニンのいずれかであり、時にはアラニンが観察されることもあります。インテインのC末端のアミノ酸は、通常はアスパラギンであり、多くはヒスチジンのあとに来ます。インテインのN末端側スプライシングドメインにはThrXXHis配列が普通は観察されます。これらの残基は、インテインの構造やタンパク質スプライシングにおいて、特異的な役割を果たします。インテインの三次元構造は、現在、マイコバクテリアのタンパク質で明らかとなっており、2つの隣接したβストランドの末端に触媒作用性スプライス部位をもつ異常なβフォールドを含んでいます。1番Ser、72番Thr-X-X-75番His、197番Hisと198番Asnからなる活性部位残基の配置は、タンパク質スプライシング反応の4段階機構モデルに合致しています。
 インテインによって行われる反応は、真核生物のヘッジホッグ(Hedgehog:HH)タンパク質が遂行する反応と類似しています。HHは脊椎動物及び無脊椎動物における発生のパターン形成において中核的な役割を果たし、ヒトの腫瘍の一部にも関係しています。状況によって、HHは細胞増殖を推進したり、プログラム化された細胞死を回避したり、細胞を特定の運命に誘導したりすることがあります。HHファミリーを構成するタンパク質は、隣接した細胞に対してだけでなく、かなりの距離にわたって作用を及ぼし、少なくとも一部の例では典型的なモルフォゲンとして働きます。このようなモルフォゲンはシグナル伝達分子であり、拡散することで広域な標的領域に濃度勾配を形成し、濃度勾配中での所在(曝されたリガンド量を反映している)に応じて細胞から様々な反応を導き出します。多くの場合、HHタンパク質の厳密な生化学的機能は知られていません。
 別のタンパク質の内部から自らを自己触媒的に切り出すとともに、隣接する部分をペプチド結合によって連結するインテイン同様、HHタンパク質のC末端側ドメインは、前駆体タンパク質のN末端側ドメインから自己触媒的に切り出されるとともに、N末端側ドメイン上の切断点にコレステロール分子を共有結合的に付加させます。これによりHHタンパク質は膜へと向かい、この過程はそのシグナル伝達機能に必須です。自己触媒反応の機構もインテインとHHでよく似ており、切断されるN末端のペプチド結合(インテインの場合)あるいはペプチド結合(HHの場合)がまず、エステル結合(インテイン)もしくはコレステロール分子(HH)の求核攻撃によって切断されます。この2種類の自己スプライシングタンパク質は、それぞれ異なる生物(インテインは単細胞生物、HHタンパク質は後生動物)から見つかりますが、著しい配列の類似性を示し、そのコア領域の三次元構造はきわめてよく似ています。

GATM発現のスタチン依存性QTLはスタチン誘発性ミオパシーに関連

(ネイチャー掲載論文を和訳)

タチンは主に血漿中の低比重リポ蛋白(LDL)濃度と心血管疾患リスクを低下させるために使用され、多くの患者で高い効果を発揮することがわかっている。しかし、スタチンはわずかながらもミオアシー(筋疾患)や2型糖尿病のリスク増加に関連している。LDL濃度に対する大きな遺伝的影響は実証済みだが、薬理ゲノム学的試験ではスタチンの効果また毒性のいずれかに対する遺伝的差異の大きな影響がまだ特定できておらず、スタチン反応を調節するメカニズム関連の情報はほとんど得られていない。我々はシンバスタチン(simvastatin)治療試験の被験者480名から得たリンパ芽球様細胞株(lymphoblastoid cell line)を対象に、遺伝子発現レベルに対するin vitroスタチン暴露の効果をスクリーニングすることによって、スタチン治療の下流標的を特定した。この分析ではシンバスタチン暴露(rs9806699など)と相互作用する6つの量的形質遺伝子座(eQTL;expression quantitative trait loci)と、クレアチン合成の律速酵素(rate-limiting enzyme)をコードするグリシンアミジノトランスフェラーゼのcis-eQTLを特定した。さらに、肝細胞由来細胞株のGATMノックアウトがステロール欠乏に対する転写応答を弱めることを確認したことから、GATMはスタチン介在のコレステロール低下作用とスタチン誘導の筋疾患リスクを機能的に結び付けている可能性がある。

リーディングフレームの移動:フレームシフト突然変異とその遺伝子間サプレッサー突然変異

ヌクレオチド配列は、3個のヌクレオチドの組合わせからなるコドンによってアミノ酸を並び方を決定します。コドンは、mRNA上に重複なく並んで、配列されます。ヌクレオチド配列は、コドンとして、3種類の方法で読み取られます。翻訳開始中、リボソームは適切な開始コドンからはじめ、リーディングフレームの一つを選択し、終結コドンまで、そのリーディングフレームを翻訳します。リーディングフレームの維持は精度の高い過程です。リーディングフレームの維持は、主として、3つの機構にかかっています。すなわち、①tRNAとmRNAとの間に対形成する明瞭なコドン-アンチコドンの3塩基組(トリプレット)、②各延長サイクルにおけるコドン-アンチコドン対形成の十分な安定性、③ペプチジルtRNAと対形成するコドンに隣接したコドンへのアミノアシルtRNAの正確な導入、理論的には、いかなるヌクレオチド配列の切片も、3つの異なるアミノ酸配列を維持できます。時際には、ウイルスのmRNAのように、複数のリーディングフレームにタンパク質コード配列が重複して存在する例があります。
 翻訳中のリーディングフレームの移動は、翻訳フレームシフトと呼ばれます。ある翻訳フレームシフトは遺伝子にあらかじめプログラムされ、タンパク質産物の発現に必要です。転写時または転写後にも類似のリーディングフレームの移動が起こりえます。フレームシフト突然変異とは、リーディングフレームの移動を引き起こす、タンパク質コード領域内での1または2個のヌクレオチドの挿入または欠失をいいます。
 フレームシフト突然変異により、突然変異部位までの3'に対応するアミノ酸配列が乱され、全く異なるポリペプチド産物が合成されます。アクリジン色素のような一部の突然変異原は、フレームシフト突然変異を誘発します。コドンの意味づけが行われるよりも早く、フレームシフト突然変異およびその遺伝子間サプレッサー突然変異が遺伝学的に解析され、遺伝暗号は3塩基組(トリプレット)からなるという結論に至ったのです。

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